■ はじめに:なぜ“教育費クラッシュ”が起こるのか?
年収700〜800万円は、世帯全体としては「平均以上」であり、
子育て家庭の中では比較的ゆとりがある収入層に見えます。
しかし実際には…
- 中学受験塾(年間60〜120万円)
- 習い事×2〜3人(年間30〜80万円)
- 私立高校(年間70〜120万円)
- 大学進学(総額500〜800万円)

これらが重なることで、貯蓄ペースが一気に崩れ、家計が破綻寸前になるケースも少なくありません。
いわゆる 「教育費クラッシュ」 です。
年収700〜800万円帯は、
- 生活困窮ではない
- しかし“補助金の対象外”が多い
- 教育投資をしがいがある
という「サンドイッチ層」。
だからこそ 教育費の全体設計を“早期に”行うかどうか が、
10年後の家計の安定度を大きく左右します。
1. 年収700〜800万円世帯の「教育費リスク」一覧
✔ 教育費クラッシュが起こりやすい理由
- 中学受験塾の費用が急増する(小4〜小6)
- 塾+習い事+学校費用が三重に重なる
- 私立中→私立高→私立大の“フル私立コース”になりやすい
- 高校・大学時に住宅ローン・車の買い替えが重なる
- 家計の全体像を可視化せずに出費が雪だるま化
つまり、
「小4〜大学卒業までの約14年間が最も家計が危険な時期」
となります。
2. 中学受験を考える家庭:費用のリアルと対策
【費用のリアル】
- 小4〜小6の3年間で 総額200〜350万円
- 小6だけで 年間100〜150万円 程度も珍しくない
- 夏期講習・冬期講習・正月特訓でコスト急増
【注意ポイント】
- 「合格まで全部払う前提」で計算しないとズレる
- 兄弟がいると負担が倍増
- 塾以外の問題集・交通費も地味に積み上がる
3. 習い事:教育費クラッシュの“隠れ要因”
年収700〜800万円帯の世帯では、
子ども1人あたり 月1〜3万円の習い事 が一般的です。
しかし、
- スイミング+英語
- ピアノ+スポーツ
- 塾+ロボット教室
などを組み合わせると、月5〜7万円/年60〜80万円 になることも。
✔ 習い事の最適化ポイント
- 固定費と同じ“見直し対象”である
- 「やめどき」を半年ごとに設定
- 費用対効果を「成果ベース」で考える
- 塾が本格化する小4以降は整理するのが鉄則
4. 中学・高校・大学で必要な費用の全体像(モデルケース)
● 公立中 → 公立高 → 国公立大学
総額:約550万円前後
● 公立中 → 私立高 → 私立文系
総額:約750〜900万円
● 私立中 → 私立高 → 私立大学(文系)
総額:約1,500〜1,800万円
● 私立中 → 私立高 → 私立大学(理系)
総額:約2,000万円超
これに塾代(300万円前後)、習い事(総額200〜300万円)が加わるため、
フル私立+塾フルコースで「総額2,500万円超」が現実的な数字です。


5. 年収700〜800万円世帯が破綻を防ぐ「3つの必須戦略」
<① 教育費は“3段階”で管理する>
| 時期 | 主な費用 | 対策 |
|---|---|---|
| 小1〜小3 | 習い事中心 | 上限:月1〜2万円 |
| 小4〜小6 | 中学受験費用ピーク | 塾費用を最優先に再配分 |
| 中1〜大学 | 学校+塾+部活 | 進路に応じて計画を再設計 |
<② 「教育費バケツリスト」で全体像を見える化>
以下を一覧で把握することで、クラッシュはほぼ防げます。
- 受験費用
- 塾・講習費
- 習い事(年間費)
- 学校費用(公立・私立)
- 大学入学金+学費
総額はいくらか?
いつピークが来るのか?
これを可視化することが最重要です。
<③ 新NISAで教育費の“先回り積立”をする>
🔹 老後資金と教育費は「別のバケツ」で積立
- つみたて投資枠:教育費の中長期部分
- 成長投資枠:老後資産 or 自己投資
🔹 毎月3〜5万円の先取り投資が王道
20年積立 × 年利5% → 約1,230万円
(※新NISAで十分達成可能)
教育費の一部を先回りで作っておくと、
中学〜大学の出費に家計が振り回されにくくなります。
● 1人分の教育費(公立ルート)= 約550万円
● 私立ミックス(公立中→私立高)= 約750〜900万円
● フル私立(中高大)= 約1,500〜2,000万円超
教育費タイムライン(子どもの成長と出費ピーク)
習い事/基礎力づくり期:月1〜2万円程度の習い事が中心。ここで基礎を作ることで後の塾費用を抑えられることも。
中学受験ピーク期(塾費急増):小4以降に塾フルコースになると年間60〜120万円、3年間で200〜350万円クラスの費用。
学費+部活・補習:公立なら比較的抑えられるが、私立では年間70〜120万円が必要。
大学費用(入学金+学費):国公立で約300〜400万円、私立文系で約500〜800万円、理系はさらに上振れ。
教育費バケツリスト(貯めるべき項目)
教育費シナリオ比較(20年間の総額イメージ)
| 貯める期間 | 毎月積立目安 | 20年後の目安(年利5%想定) |
|---|---|---|
| 月1万円 | ¥10,000 | 約 410万円 |
| 月2万円 | ¥20,000 | 約 820万円 |
| 月3万円 | ¥30,000 | 約 1,230万円 |
| 月5万円 | ¥50,000 | 約 2,050万円 |
例:月3万円を先取りして20年運用すれば、私立ミックスの多くは賄える可能性あり。
6. 「教育費クラッシュ」を防ぐ家計の黄金ルール
✔ ① 教育費は“先に積み立てた人”が勝つ
✔ ② 塾+習い事の同時進行は危険(小4以降は特に)
✔ ③ フル私立を選ぶなら大学費用を先に確保する
✔ ④ 新NISAは教育費の“保険”として極めて有効
✔ ⑤ 夫婦で情報を共有し、5年単位で計画を更新する
まとめ:教育費は「戦略ありき」でしか乗り切れない
年収700〜800万円の世帯は、
一見すると余裕があるように見えて、実は最も教育費破綻が起こりやすい層です。
しかし逆に言えば、
- 教育費の全体像を把握し
- 塾・習い事を最適化し
- 新NISAで先回り積立をし
- 家計負担のピークを分散する



これらを実行すれば、
“2,000万円級の教育費”でも家計クラッシュは確実に回避できます。



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