1. S&P 500や全世界株式の将来リターンは?インデックス投資における分散の必要性

「S&P 500で5%のリターンというシミュレーションが多いですが、長期積立・分散投資をしてもトータルで5%取れるという意味なのでしょうか?それともS&P 500だけでも良いのでしょうか?」
というご質問をいただきました。
率直に言って、どうやったら5%のリターンが出るのか、その答えは私は持っていません。そもそもインターネットやYouTubeで調べたところで、多分その答えは見つからないでしょう。
• 未来のリターンは誰にも予測できません。
S&P 500の過去30年間のデータを見ると、10%を超えるリターンが出ていますが、このトレンドが未来も続く保証はありません。将来的に5%のリターンが得られるかどうかは、残念ながら誰にも分からないのが実情です。
• ちなみに、私自身の見解を申し上げると、S&P 500や全世界株式(オルカン)だけで普通に長期投資をしていれば、5%以上のリターンは十分に見込めると思いますから、それだけで良いのではないでしょうか。



もちろん、これは分散するなとか、分散するとリターンを落とすだけだと言いたいわけではありません。分散したいのであれば、すればいいと思います。
例えば、金や債券などに分散させても、5%程度のリターンは出ると思っています。重要なのは、あなたが「これが手堅く5%を実現する方法だ」と納得できる方法で投資をすることです。答えがない部分だからこそ、納得感を得るために勉強し続けるスタンスが大切だと私は考えています。
2. 特定口座から新NISAへ?インデックス積立投資の一部解約とスポット購入の税金メリット・デメリット
次に多いのが、



「積立投資の一部を解約して、スポットでまとめて買うのはどう思いますか?S&P積立からS&Pへ」
というご質問です。
• 特定口座から特定口座への買い直しは無意味:
これはケースバイケースですが、もし特定口座で積み立ててきたものを売却して、再度特定口座で買い直すというケースであれば、基本的に意味はありません。なぜなら、利益が出た分に税金がかかるため、結果的にずっと持ち続けていた方が得だからです。例えば、年利5%で100万円が10年間運用され続ければ、税金考慮後で150万円になりますが、途中で売却して税金がかかり、買い直すということを繰り返すと、最終的な手取り額はわずかに減ってしまいます。特定口座から特定口座への買い直しは、こうした現象が起こるため、基本的にはおすすめしません。
• 新NISA活用なら意味がある:
しかし、もし新NISAの1800万円の非課税投資枠を埋める予定がない場合は、話は別です。特定口座で積み上げてきた資産を売却し、そこで一度税金がかかったとしても、その資金を新NISAの枠で一括投資するという考え方は、非常に合理的で意味のある選択肢だと私は考えます。
• ドルコスト平均法の誤解:
この話で、もしかしたら



「今まで積立投資をしてきたからドルコスト平均法でリスクが抑えられていたのに、一括投資にするとリスクが大きくなるのではないか?」
と心配される方もいるかもしれませんね。ですが、これは勘違いです。積み立て投資をしてきた結果として今の資産があるという点は、一括投資も積立投資も同じです。未来においてドルコスト平均法が特別な意味を持つわけではありません。たとえドルコスト平均法で平均取得単価が抑えられていたとしても、S&P 500が半分に暴落すれば、あなたの500万円は余裕で250万円になります。未来においてドルコスト平均法はあまり意味を持ちません。ですので、そのあたりは心配しなくて大丈夫です。
結論として、特定口座から特定口座への買い直しは意味がないですが、特定口座から新NISAへの移管であれば、大いに意味がありますので、ぜひ検討してみてください。
3. インデックス投資が「暇」だと感じるのはなぜ?個別株に手を出す前に考えるべきこと
次に、



「インデックス投資って暇だから、慣れてくると色々なものに手を出したくなるんだよね。何を考えてどうすればいいのかな」
というご質問です。
• 「暇」の対策は収入増・支出減:
多くの方がインデックス投資だから暇だとおっしゃって、個別株に手を出したりするのかもしれませんが、そもそも他のところで収入を稼ぐ努力や、支出を減らす努力はしていますか?
本当に暇なのはインデックス投資のせいなのでしょうか?実は、他にもやるべきことがあるのかもしれません。もし投資が暇だと感じるのであれば、個別株に手を出す前に、本業で収入を増やす努力や、支出を減らす努力をする方が、もしかしたら生産性が高いかもしれませんね。「インデックス投資が暇だから」という理由ではなく、より高いリターンを狙える明確な目的がある場合に、個別株への投資を検討すべきだと私は考えます。目的と手段をしっかり考えて行動することが大切です。


4. 相続した株の配当金80万円をオルカンに積立?新NISAでの最適活用法を検証
次は、



「親から相続した株の配当が年間約80万円あり、これをオルカン(全世界株式)の毎月積立に10万円を充て、新NISA1800万円の満額を目標にしています。貯金より将来的に増えると思ってやっていますが、この投資プランで問題ないでしょうか?」
という、もうすぐ50代の方からのご質問です。
• 配当金の再投資は素晴らしい:
親から相続した株の配当金が毎年80万円入ってくる、というのは素晴らしいことですね。配当金が入ってきて、その資金を投資に回す、という考え方もめちゃめちゃ良いと思います。
• 「消去法」になっていないか?:
ただ、私が少し気になるのは、もしかしたら「消去法」でこのプランを選んでいませんか?この文章だけで判断できる話ではありませんが、相続した株を持ち続けるべきかどうか、判断ができていないように感じます。なんとなく「毎年80万円の配当金が入ってくるし、売る理由もないよね」と惰性的に持っているだけ、という状況ではないでしょうか?
• 代替案との比較検討を:
もし本当にその株が良いのであれば、買い増しを検討すべきですよね。しかし、もし積極的には買えない、よくわからないからオルカンを買っている、という現状なのであれば、もしかしたら、その相続した株を売却して、得た資金を全世界株式やS&P 500に一括投資することで、年間80万円以上のリターン(例えば100万円や150万円)が得られる可能性もあるわけです。今のプランに問題があるわけではありませんし、「変えないとまずい」というつもりもありません。ですが、せっかくそれくらいの資産があるのですから、もっと有効活用する方法がないか、消去法ではなく、しっかり比較検討してみることをお勧めします。
5. 「投資系YouTube多すぎ」情報過多で迷子に?信頼できる情報を見極める「軸」の作り方
最後に、



「YouTubeの投資系動画が多すぎて、誰を信じればいいか分かりません。どうすればいいでしょうか」
というご質問です。
• 「軸」の確立が重要:
情報が多すぎて誰を信じたらいいか分からない、というのはものすごく「あるある」な話です。しかし、これは情報が多すぎるのが悪いわけではなく、残念ながらあなた自身の「軸」(基準や経験)がまだできていないことが多いんです。都合の悪い情報から目を背け、別の情報を探し続けるという、「一生彷徨い続ける」典型的なパターンにはまってしまっている可能性があります。
• まずは10年インデックス投資を:
こういう状況に対する私のお勧めは、まず何も考えずにインデックス投資を10年くらいやってみることです。10年間くらい実践すれば、なんとなく経験というものが身につきます。経験のない状態で得た情報と、経験した上で得た情報では、その受け取り方が変わってくるはずです。特に、分散すべきかS&P 500だけでいいかといった話は、資産を取り崩す時しか関係ない話で、今から10年、20年のほとんどの人にとってはあまり関係ない話なんです。現時点での分散の必要性は、正直どうでもいい話だと私は思います。ひたすら10年くらいインデックス投資をやってみて、「ああ、こういう感じなんだ」と経験した上で、あらゆる情報を取ってみると、「ああ、そういうことか」と腑に落ちることが多いでしょう。
• 情報の矛盾は「見方」の違い:
ここで大切なのは、「情報が多すぎて分からないから誰も信じない」というのではなく、例えばAさんとBさんの意見が矛盾しているように見えても、どちらも嘘をついているわけではない、ということです。単に「こういう見方だとこうだ」「こういう見方だとこうだ」というように、見方や考え方が違うだけなんですね。矛盾していることを言っていても、実はどちらも嘘をついていない、という深さは、経験してみないと分からない部分が往々にしてあります。
• 自分で試し、学び続ける:
特定の人を排除するのではなく、まずは自分で10年間くらい投資を実践してみる。その上で情報を収集し、学び続ける。これを繰り返していくうちに、やがて自分なりの考え方や「軸」ができてきて、取りに行くべき情報と、あまり相手にしなくてもいい情報が見分けられるようになるでしょう。
まとめ
今回の解説では、投資における具体的な疑問から、情報の受け止め方といった心理的な側面まで、幅広くお答えしました。特に強調したいのは、**「自分で経験し、学び続けることの重要性」**です。情報の洪水に流されず、あなたなりの「軸」を確立するために、まずは一歩踏み出して投資を実践してみるのが、成功への近道だと私は考えます。
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