2024年からスタートした新NISA。「知っている」と回答した人が91%に上るほど認知度は高いものの、実際に利用している方はまだ少ないのが現状です。
特に「年収によってどれくらい投資すればいいの?」「自分の状況に合った投資戦略が知りたい」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、年収300万円から1000万円の方を対象に、新NISAを最大限に活用するための具体的な投資戦略を、手取り額や家族構成、目標に応じたシミュレーションを交えて徹底解説します。
新NISAの現状と平均積立額

まず、新NISAがどれくらい利用されているか見てみましょう。
「おカネコ」という投資・マネーサイトのアンケート調査によると、新NISAを利用している人が積み立て投資枠で毎月積み立てている金額は、**9万円から10万円未満が50.3%**と最も多く、平均積立額は63,785円となっています。
成長投資枠では、2024年1月から6月で140万円を超える投資を行った層も存在し、平均投資額は1,161,148円でした。これは、新NISAが始まった初年度ということもあり、貯金がある人や元々投資をしていた人が資金を新NISAに移動させたケースが多いと考えられます。
しかし、これからは毎月の給料からの「入金力」に応じた投資額が重要になってきます。
年収別の投資額目安:あなたの手取りから考える
投資に回せる金額は、年収だけでなく、手取り額や家族構成によって大きく変わります。お子さんがいる世帯は余裕が少ない一方、独身で稼いでいる方はより多く投資できる傾向にあります。
「バビロンの大富豪の教え」では、収入の10%を貯金することが推奨されています。



ここでは、国税庁の調査に基づく平均年収と手取り額を参考に、年収別の投資目安を見ていきましょう。
年収(額面) | 手取り額(月額目安・独身の場合) | 投資目安(手取りの10%~30%) |
300万円 | 約20万円台 | 2.0万円~6.0万円 |
400万円 | 約31.5万円 | 2.6万円~7.9万円 |
500万円 | 約39.1万円 | 5.3万円(手取りの約13.5%) |
600万円 | 約46.2万円 | 10万円以上(手取りの約21.6%以上) |
700万円 | 約52.9万円 | 8.8万円(手取りの約16.6%) |
800万円 | 約59.4万円 | 5.0万円(手取りの約8.4%) / 10.0万円(手取りの約16.8%) |
900万円 | 約66.2万円 | 5.5万円(手取りの約8.3%) / 16.6万円(手取りの約25.1%) |
1000万円 | 約72.8万円 | 6.7万円(手取りの約9.2%) / 12.0万円(手取りの約16.5%) |



年収1000万円でも手取りは月額約60万円ほどと、税金や社会保険料で引かれる額が大きいことが分かります。しかし、それでも10%〜20%を投資に回せば、月額6万円から12万円の積み立てが可能であり、資産形成を大きく加速させることができます。
一括投資 vs. 積立投資:どちらが有利?
もし預貯金が十分にある場合、新NISAで「一括投資」を検討するのも一つの手です。
日本経済新聞の試算では、10年間で積立投資をした場合の利益率が24.9%だったのに対し、一括投資の場合は**54.8%**と、高いリターンが示されています。これは、資産均等型(債券や日本株を含む)のような比較的利回りが低い商品でも同様の傾向が見られます。
ただし、一括投資は直後に市場が暴落すると大きな損失を被るリスクがあるため、投資初心者の方にはあまり推奨されません。基本的には長期投資を前提とすれば安定して資産を増やせますが、リスク許容度に応じて検討することが重要です。
【シミュレーション】あなたの積立額で未来はこう変わる!
ここからは、毎月の積立額に応じた将来の資産額をシミュレーションしてみましょう。再現性の高いインデックス投資(例:S&P500、全世界株式)を想定し、年率リターンをあえて控えめに**5%**と仮定します。
毎月の積立額 | 投資期間 | 元本 | 将来の資産額(年率5%運用) |
3万円 | 20年間 | 720万円 | 1,233万円 (利益513万円) |
10万円 | 15年間 | 1,800万円 | 2,673万円 (新NISA枠を使い切った場合) |
10万円 | 20年間 | 2,400万円 | 4,170万円 |
20万円 | 20年間 | 4,800万円 | 8,221万円 |
毎月3万円の積み立てでも、20年後には元本720万円が1,233万円に膨らむ計算になります。これは年間で約25万円の利益を生み出す計算であり、月々の手取り分に匹敵する額を毎年稼ぐことになるため、夢のある資産形成と言えるでしょう。
毎月10万円を15年間投資し、新NISAの非課税投資枠1,800万円を使い切った場合、2,673万円の資産を築くことが可能です。地方在住の方であれば、この資産から得られる不労所得で生活することも夢ではありません。
攻めと守りの投資戦略:コア・サテライト戦略
もし毎月の投資額が10万円や30万円と高い場合は、インデックス投資だけでなく**「コア・サテライト戦略」**も検討してみましょう。
• コア: 資産の主要部分を、インデックス投資などの低リスクな商品(例:S&P500)で運用し、「守り」の資産を築きます。
• サテライト: 資産の一部を、リスクは高いものの高いリターンが期待できる商品(例:Nasdaq100、個別株)に投資し、「攻め」の姿勢を取ります。
この戦略により、ポートフォリオ全体のリターンを高めることが可能です。例えば、S&P500(年率5%)をコア、Nasdaq100(年率10%)をサテライトとし、比率を6対4で投資した場合、ポートフォリオ全体で年率7%のリターンが期待できます。



毎月10万円を7%のリターンで20年間運用した場合、資産は5,209万円にも達します。これは野村総合研究所の資産クラス別ピラミッドで**「準富裕層」**に該当する金額です。
不労所得も目指せる!高配当投資という選択肢
資産を増やしつつ、目に見える配当収入、つまり不労所得を得たいと考える方もいるでしょう。そのような方には、高配当投資信託や高配当株をポートフォリオに加えることをお勧めします。
最近では、米国の高配当ETFであるSCHDに連動する投資信託も登場しています。
• SBI証券:SBI米国高配当株式(SBSD)
• 楽天証券:楽天高配当株式米国ファンド(楽天SCHD)
これらの商品は、投資対象自体は同じですが、手数料や分配月が若干異なります。米国のSCHDは配当利回り3.32%、平均増配率11.39%という実績があります。


例えば、毎月10万円の投資額がある場合、インデックスファンドに5万円、楽天SCHDなどの高配当投資に5万円と、半々で投資することを考えてみましょう。
• インデックス投資(月5万円、20年、5%運用):2,055万円の資産形成
• 高配当投資(月5万円、SCHDの増配率で20年運用):年間197.2万円の不労所得(月額約16.4万円)
もし合計で月20万円を投資できれば、20年後には資産が4,110万円、年間配当収入が394.4万円になる計算です。ただし、高配当投資のシミュレーション結果は、現在の高い増配率が続かない可能性もあるため、あくまで期待値として参考にしてください。月5万円程度の不労所得であれば、かなり確実性が高く実現できると考えられます。
出口戦略:資産の取り崩しシミュレーション



投資は「ゴール」を見据えることも大切です。会社を退職すれば年収はストップするため、資産の取り崩し(出口戦略)を考える必要があります。
例えば、65歳で定年退職し、95歳までの30年間で資産を取り崩すシナリオを考えてみましょう。
将来の資産額(年率5%運用) | 取り崩し期間 | 運用中の利回り | 毎月取り崩せる金額 |
2,055万円 (月5万円積立20年) | 30年間 | 3% | 8.6万円 |
4% | 9.7万円 | ||
4,170万円 (月10万円積立20年) | 30年間 | 3% | 17.9万円 |
4% | 20.4万円 | ||
6,000万円 (例) | 30年間 | 3% | 25.8万円 |
4% | 29.3万円 |
退職後の生活費は平均で月約26万円と言われています。もし毎月5万円の赤字が出るとして、「老後30年間に2000万円必要」といった話を聞くかもしれませんが、2000万円や3000万円の資産を築けていれば、取り崩しを考慮しても十分生活していけることが分かります。高配当投資を組み合わせれば、配当収入と取り崩しを併用できるため、出口戦略がより分かりやすくなります。
最も大切なこと:投資の継続が成功の鍵
投資において最も大切なのは、投資を継続することです。なぜなら、投資期間が長くなればなるほど、元本割れのリスクは減っていくからです。
例えば、S&P500に投資した場合、1年間の投資では最悪の場合48.7%の暴落を経験する可能性がありましたが、15年間投資を継続した場合、元本割れしたケースは一度もありませんでした。このデータが示すように、長期投資は資産形成の安定性を高めます。
まとめ:2025年に最高のスタートを切ろう!



この記事では、年収300万円から1000万円の方に向けた新NISAの投資戦略を解説しました。
• 自分の年収や手取り、家族構成から無理のない投資額を見つける。
• 基本は再現性の高いインデックス投資を検討する。
• 資金に余裕があるなら、コア・サテライト戦略や高配当投資も選択肢に。
• 将来の取り崩し(出口戦略)まで見据えて計画を立てる。
• 何よりも**「投資を継続すること」**が成功の鍵。
2025年、新NISAで最高のスタートを切るためにも、まずは投資を始めてみましょう。


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