「政府が現在進行形で実施している給付金の種類はどれくらいあるかご存知ですか?」
コロナ禍で支給された10万円の給付金や、最近の物価高対策を思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、実は政府が出している給付金や助成金は想像以上にたくさんあります。

非課税世帯向け、高齢者向け、子育て世帯向けなど多岐にわたり、その数は正確に数えきれないほどです。
そして、その中には申請するだけで受け取れるにもかかわらず、多くの人がその存在を知らないまま損をしているものが多数存在します。中には、一度の申請で30万円以上の給付金を受け取れるケースも実際にあります。
今回の記事では、あなたが「もらえるはずなのに知らなかった」給付金について、特に申請をしないと受け取れない重要な制度を詳しく解説します。



もしかしたら、あなたも今すぐ申請できる給付金が見つかるかもしれません。
1. 介護に関する給付金 – 仕事と介護の両立をサポート
介護は突然必要になることが多く、家族の負担が急増することがあります。仕事との両立が難しくなったり、施設の費用が高すぎると感じたり、自宅のバリアフリー化にお金がかかるなど、経済的な負担も大きくなりがちです。しかし、介護に関する給付金を知っていれば、これらの負担を大きく軽減できます。
① 介護休業給付金:介護離職を防ぎ、収入をサポート
家族の介護が必要になった際、多くの人が直面するのが「仕事と介護の両立」という問題です。親や家族の急な病気や認知症の進行により、すぐに介護を始めなければならない状況になることもあります。会社員にとって、すぐに仕事を辞めるのは大きな決断であり、一方で仕事を続けながらの介護は想像以上に大変です。
実際に、介護を理由に退職する人は毎年約10万人に上ると言われています1。しかし、「介護休業給付金」を利用すれば、介護のために休業している間、給与の67%が支給されます。例えば、月給30万円の方が1ヶ月介護休業を取った場合、約20万円の給付金を受け取ることが可能です。
【ポイント】
•支給額: 休業前の給与の約67%。
•取得期間: 最大93日間(3回まで分割取得可能)。
•申請方法: 休業開始前に会社を通じてハローワークへ申請。



この制度を知っていれば、無理に仕事を辞めることなく、必要な時に休みを取って家族を支えるという選択肢が生まれます。
② 家族介護慰労金:在宅介護の経済的・精神的負担を軽減
家族の介護を自宅で行っている方にとって、経済的・精神的負担は非常に大きいものです。施設に入れる高額な費用を考えると、やむを得ず自宅介護を続けている方も少なくありません。
「家族介護慰労金」は、在宅で家族を介護している方に対し、自治体から支給される給付金です3。自治体によって金額は異なりますが、年間最大10万円ほど支給される場合があります。
【ポイント】
•支給対象: 在宅で家族を介護している方。
•支給額: 年間最大10万円程度(自治体による)3。
•主な条件:
◦介護を受ける人が要介護4または5(一部自治体では要介護3も対象)の認定を受けていること。
◦世帯全員が市町村民税非課税であること。
◦介護保険料を納めていること。
◦介護保険サービスを1年間利用していないこと。
•申請方法: お住まいの自治体の窓口へ問い合わせ。



この給付金により、介護にかかる費用の一部をカバーできる可能性があります。
③ 在宅改修給付金:自宅のバリアフリー化を支援
自宅を介護しやすい環境にリフォームしたいけれど、費用が高くて諦めている方もいるかもしれません。玄関や浴室への手すり設置、段差解消などは、転倒リスクを減らし、介護する側もされる側も負担を大きく軽減できます。
「在宅改修給付金」は、自宅を介護しやすいように改修する際に利用できる給付金です。この制度を活用すれば、最大20万円までの工事費用の補助を受けられます。自己負担額は工事費の1割から3割程度に設定されています。
【ポイント】
•補助額: 最大20万円まで。
•自己負担: 工事費の1割〜3割程度。
•対象工事例: 手すりの設置、段差解消、滑りにくい床材への変更、引き戸への変更、和式トイレから洋式トイレへの変更など。
•申請方法: 工事を始める前に自治体の福祉窓口で事前申請・審査が必要。



この給付金を活用することで、経済的な負担を抑えつつ、安全で快適な介護環境を整えることが可能です。
2. その他の給付金・支援制度 – 退職金や年金でもらえるお金
介護に関する給付金以外にも、知っているだけで大きな差が生まれる重要な制度があります。
① 退職所得控除:退職金にかかる税金を大幅軽減
退職金は人生で一度きりの大きな収入ですが、何も知らずに受け取ると数百万円単位で税金が引かれてしまう可能性があります。しかし、「退職所得の受給に関する申告書」を退職前に会社へ提出するだけで、税負担を大きく軽減できます。
【ポイント】
•重要性: 申告書を提出しないと、退職手当の全額に対し20.42%の税率で所得税が源泉徴収されます。例えば、退職金2000万円の場合、申告書を出さなければ約408万円もの税金が引かれることになります。
•効果: 事前に申請すれば控除が適用され、税額が15万円程度で済むケースもあります。
•控除額の計算方法:
◦勤続年数20年以下の場合: 40万円 × 勤続年数(最低80万円)4。
◦勤続年数20年超の場合: 800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年)4。
•例(勤続30年、退職金2000万円の場合):
◦退職所得控除額: 800万円 + 70万円 × (30年 – 20年) = 1,500万円4。
◦課税対象となる退職所得額: (2000万円 – 1500万円) ÷ 2 = 250万円(半分は特別控除で非課税)。
◦最終的な税額: 約15万円。



この手続きは基本的に退職前に行わないと適用されません4。退職が決まっている方は、必ず事前に会社の人事担当者に確認しましょう。
② 年金生活者支援給付金:年金受給者の生活を支援
年金を受給している方が対象となる「年金生活者支援給付金」という制度もあります。申請を忘れていて受け取れていない人もまだ多いようです。
この給付金には主に3つの種類があります。
【ポイント】
•1. 障害年金生活者支援給付金
◦対象: 障害基礎年金を受け取っている方。
◦所得条件: 前年の所得が472.1万円以下。
※障害厚生年金のみの受給者は対象外。
2. 遺族年金生活者支援給付金
◦対象: 遺族年金を受け取っている方。
◦所得条件: 前年の所得が472.1万円以下。
3. 老齢年金生活者支援給付金:
◦対象: 65歳以上で老齢基礎年金を受け取っている方。
◦所得条件: 世帯全員が住民税非課税であること、かつ前年の公的年金収入とその他の所得の合計が878,900円以下であること。
•給付額: 最大月額5,310円。
•申請方法: 早めに年金事務所や自治体に問い合わせて確認することが推奨されています。



金額的には大きくないかもしれませんが、申請すれば一生もらえる可能性がありますので、対象となる方は忘れずに申請しておきましょう。
まとめ:知っているか知らないかで大きな差が生まれる!
今回ご紹介した「介護休業給付金」「家族介護慰労金」「在宅改修給付金」などの介護に関する支援制度は、仕事と介護の両立や、自宅での介護負担軽減に役立ちます。また、「退職所得控除」を活用すれば退職金の税負担を大幅に軽減でき、「年金生活者支援給付金」では年金にプラスして支援を受けられる可能性があります。



これらの制度は、申請しないと1円ももらえません。まさに「知らなかった」「面倒だからいいや」と思っていては損をする典型的な制度です。
自分には関係ないと思っていても、家族や知人が対象になっている可能性もあります。この情報を共有し、大切な人が損をしないように助けてあげてください。
ご自身が対象になるかもしれないと感じた方は、それぞれの制度の担当窓口(ハローワーク、自治体、会社の人事担当者、年金事務所など)に早めに問い合わせて確認することをお勧めします。


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