はじめに:NISAだけでは資産を守りきれない時代へ
2024年から新NISAが始まり、「投資を始めた」という声を多く聞くようになりました。
確かに、NISAは資産形成の最強ツールのひとつです。非課税で運用でき、長期投資にピッタリ。
しかし最近、こんな声も増えています。
「NISAだけで本当にいいの?」
「米国株が下がったらどうすればいい?」
「円安・インフレに備えるには?」
そう、NISAだけではリスクを完全にカバーできないのです。
資産を守り、増やすために今こそ重要なのが「分散投資」。
しかも、月1万円という少額からでも始められます。

この記事では、「NISA+α」でできる分散投資の極意を、初心者にもわかりやすく解説します。
第1章:分散投資とは?〜リスクを逃げずに“薄める”考え方〜
🔹「卵を一つのカゴに盛るな」という格言
投資の世界でよく言われる格言があります。
“Don’t put all your eggs in one basket.”(卵を一つのカゴに盛るな)
もし1つのカゴ(=投資先)が落ちて割れたら、すべての卵(資産)を失う可能性があります。
だからこそ、投資先を複数に分けてリスクを薄める——これが分散投資の基本です。
🔹分散投資の3つの軸
分散には主に3つの方向があります。
分散の種類 | 内容 | 例 |
---|---|---|
地域分散 | 国・地域を分ける | 日本・米国・新興国・欧州など |
資産分散 | 投資対象を分ける | 株式・債券・不動産・金 |
時間分散 | 買うタイミングを分ける | 毎月の積立(ドルコスト平均法) |
たとえば「米国株100%」だと、米国経済が崩れたときに影響をもろに受けます。
一方で「全世界株」「金」「REIT(不動産)」を組み合わせると、リスクを自然に分散できます。
第2章:NISAだけじゃない!分散投資の選択肢
NISAは確かに強力な制度ですが、万能ではありません。
目的やリスク許容度に合わせて、NISA以外の投資手段も組み合わせると、より安定した資産形成が可能になります。
🔸1. つみたてNISA/新NISA
まずは王道。
「長期・分散・積立」を実践するには最適な制度です。
対象は金融庁が認めた低コストのインデックスファンドのみ。
- 年間120万円まで非課税
- 売却・再投資も自由
- 手間なく自動積立できる



ただし「株式・投資信託」に限られるため、金や不動産などは対象外です。
🔸2. iDeCo(個人型確定拠出年金)
NISAと並ぶ人気制度がiDeCo。
最大の魅力は節税効果の高さです。
- 掛金が全額所得控除(例:年収400万円の人なら年6万円以上節税)
- 運用益も非課税
- 受け取り時も控除あり
デメリットは「60歳まで引き出せない」こと。



したがって、老後資金を積み立てたい人に向いています。
🔸3. ETF(上場投資信託)
ETFは、証券取引所に上場している投資信託。
1万円程度から全世界株や米国株に分散投資できます。
- 株のようにリアルタイムで売買可能
- 信託報酬が安い(年0.1%以下のものも)
- NISA口座でも購入OK



初心者におすすめなのは
「S&P500連動ETF(例:VOO)」や「全世界株ETF(例:VT)」など。
🔸4. 金(ゴールド)投資
インフレ・円安に強い資産として再注目されているのが金。
株式と値動きが逆になることが多く、リスク分散に最適です。
- 純金積立なら月1,000円〜OK
- 世界経済が不安定な時期に価値が上がりやすい
- 長期保有でインフレ対策に
特に2024〜2025年のような円安局面では、円建ての金価格が上昇しやすい傾向があります。
🔸5. REIT(不動産投資信託)
「家賃収入を小口で得られる」投資がREIT(リート)。
不動産市場に間接的に投資できるため、株式と異なる値動きをします。
- 利回り3〜5%程度の安定収入
- 株価が下がっても賃料収入が下支え
- 投資信託やETFで1万円以下から購入可
第3章:1万円で実践できる分散ポートフォリオ例



「1万円じゃ分散できない」と思っていませんか?
実は、1万円でもバランス良く投資することは可能です。
💡ポートフォリオ例(合計1万円)
資産クラス | 割合 | 投資商品例 | 月額投資額 |
---|---|---|---|
全世界株式 | 40% | eMAXIS Slim 全世界株式 | 4,000円 |
米国株式 | 30% | SBI・V・S&P500インデックス | 3,000円 |
金(ゴールド) | 20% | 三井住友・純金ファンド | 2,000円 |
REIT(不動産) | 10% | たわらノーロード 先進国REIT | 1,000円 |
これで、
- 世界中の株式
- 金(インフレヘッジ)
- 不動産(安定収益)
という3方向のリスク分散が完成します。
🔹ポイント
- 全世界株式ファンドを選べば「国」も自動的に分散される
- 金を組み込むことで、株式が下落した時の“クッション”になる
- REITでインカムゲイン(配当収入)を得られる



つまり、1万円でも立派な「分散型ポートフォリオ」が作れるのです。
第4章:分散投資のメリットとデメリット
✅ メリット
- リスクを抑えて安定的に増やせる
→ どれかが下がっても、他の資産が補う仕組み。 - 精神的に安心できる
→ 一つの市場に依存しないので、相場急落でも焦らない。 - 長期での資産成長が安定
→ どんな局面でもコツコツ積み上げやすい。
⚠️ デメリット
- 上昇相場ではリターンがやや劣る
→ 集中投資より“平均化”される。 - 管理が複雑に感じる
→ 複数のファンドを保有するため、時々チェックが必要。 - 分散しすぎると効果が薄まる
→ 5〜6本程度に絞るのが理想。
第5章:分散投資を成功させる3つのコツ
① 投資の目的を明確にする
「老後資金」「教育資金」「将来の生活資金」など、目的によって投資期間とリスク許容度が違います。
目的を決めることで、ブレない投資ができます。
② 年1回は“リバランス”を
市場が動くと、資産の比率が崩れます。
年に1度、比率を確認して「リバランス(調整)」を行うことが大切です。
例)
金が上がって30%になっていたら、一部を売って株式に戻す。
これでリスクを一定に保つことができます。
③ 積立を止めない
分散投資の最大の敵は「途中でやめること」。
相場が下がったときこそ、安く買えるチャンスです。
毎月1万円を淡々と続けることが、最強の戦略です。
第6章:どこで運用する?おすすめ口座3選
証券会社 | 特徴 | 向いている人 |
---|---|---|
SBI証券 | ETF・金・REITの取扱が豊富。Tポイント投資も可。 | 分散ポートフォリオを組みたい人 |
楽天証券 | ポイント投資×楽天経済圏で人気。 | 初心者・楽天ユーザー |
マネックス証券 | 米国ETFやテーマ投資に強い。分析ツール充実。 | 投資を深く学びたい人 |
どの口座も「つみたて設定」「自動リバランス」「ポイント投資」など、少額でも続けやすい仕組みが整っています。
・SBI証券(Tポイント・Vポイント投資が可能)
・楽天証券(楽天ポイント投資対応)
・マネックス証券(ポートフォリオ分析ツールが充実)
第7章:分散投資は“守り”ではなく“攻め”の戦略
「分散投資=地味」という印象を持つ人も多いですが、
実は**最も長く生き残るための“攻めの戦略”**です。
- 集中投資:短期で大きく増えるが、大きく減る可能性もある
- 分散投資:上昇はゆるやかだが、下落に強い



10年・20年と長期で見たとき、安定して資産を増やしているのは「分散型」の投資家です。
まとめ:1万円でも“世界に分散”できる時代へ
- 分散投資はリスクを減らす最強の武器
- NISAだけに頼らず、「金・REIT・iDeCo」も組み合わせる
- 月1万円でも、世界中に分散投資ができる時代
- 続けることが、最大の成果を生む
✅ 少額でも、分けて、長く、続ける。
それが、あなたの資産を守り、未来を変える「1万円投資の極意」です
📊 分散ポートフォリオ例(合計:月1万円)
下の円グラフは配分イメージです。表は実際に月1万円で積み立てる場合の配分例。
¥10,000/月
- 全世界株式:40%(例:eMAXIS Slim 全世界株式)
- 米国株式:30%(例:S&P500インデックス)
- 金(ゴールド):20%(例:純金ファンド/積立)
- REIT(不動産):10%(例:国内外REIT)
資産クラス | 比率 | 月額目安 |
---|---|---|
全世界株式 | 40% | ¥4,000 |
米国株式 | 30% | ¥3,000 |
金(ゴールド) | 20% | ¥2,000 |
REIT(不動産) | 10% | ¥1,000 |
※配分は一例です。年齢・目的・リスク許容度に合わせて調整してください。
🪜 月1万円で始める分散投資のフロー(5ステップ)
迷わず始められるように、初めての人向けにステップ化しました。
STEP1:目的を決める
老後資金・教育資金・資産形成など「いつ使うか」を先に決める。
STEP2:制度を選ぶ
つみたてNISA/iDeCo/特定口座など、目的に合わせて口座を選択。
STEP3:商品を選ぶ
全世界株式・米国株・金・REITなどを組み合わせ、1万円の配分を決める。
STEP4:口座を開設・積立設定
SBI・楽天・マネックスなどで自動積立を設定。ポイント投資も活用。
STEP5:年1回リバランス&継続
年に1回バランス確認→必要ならリバランス。何より「止めない」こと。
ヒント:最初は1本に集中(全世界株等)→慣れてきたら金やREITを追加する“段階的分散”が初心者向け。
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