【2027年改正決定】iDeCoの掛金が最大7.5万円に拡大!ただしNISAを選ぶべき人も?今さら聞けないiDeCoの疑問5選を徹底解説

iDeCoはNISA(ニーサ)のライバルとも言える存在ですが、複雑さゆえにメリットを活かしきれないと、かえって老後に課税される危険があります。iDeCoをこれから始める方、すでに運用中で疑問や悩みがある方にとって、必見の内容です。

本記事では、ついに決定したiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の改正時期と、iDeCoに関する「今さら聞けない疑問5選」について解説します!

目次

1. iDeCoの改正時期と掛金の上限はいつから変わる?

iDeCoの改正時期は2027年から変更される見込みです。

改正の概要をシンプルにまとめると、以下のようになります。

対象者現行の上限(毎月)2027年からの上限(毎月)設税効果
自営業者68,000円まで75,000円に拡大大幅に拡大
会社員23,000円まで62,000円に拡大大幅に拡大

【ポイント】企業型DC加入者も上限拡大

なお、2027年より前の段階として、2026年4月の時点で、企業型DC(企業型確定拠出年金)を実施している人は、上限が55,000円から62,000円に引き上げられる予定です。

この改正によって、節税効果が大きく拡大します。例えば、会社員は今まで毎月23,000円に対して所得税や住民税が安くなっていましたが、これが62,000円に対して安くなるため、効果は非常に大きくなります。

<改正を待つべき?>

「改正後にiDeCoを始めた方が良いのか?」という疑問もありますが、改正を待つ必要はありません。

現行の23,000円でスタートし、2027年になったら引き上げの手続きが可能です。iDeCoのメリットを感じるなら、2027年を待たずに速やかに始めることが推奨されています。

2. iDeCoとNISA、どっちを選ぶべき?【税金トラップに注意】

iDeCoとNISAのどちらが良いかという疑問は「永遠の質問シリーズ」の一つです。

制度特徴メリットデメリット/注意点
NISAシンプルで迷わない増えた分に税金がかからない(極めてシンプル)掛け金に対する所得控除がない
iDeCo超複雑だが、使いこなせればメリットが大きい1. 掛け金が所得控除され、所得税・住民税が安くなる 2. 増えた分に税金がかからない60歳まで引き出せないなど、自由度が低い。受け取る時に課税される

iDeCoは、掛け金に対する所得控除があるため、NISAよりも節税効果が大きいと思われがちですが、そうならないケースが存在します。

<iDeCoの「受け取り時課税」の仕組み>

iDeCoは「増えた分に対して税金がかからない(非課税)」という点ではNISAと同じですが、受け取る時に税金がかかるという点が異なります。

例えば、毎月62,000円を10年間積み立て(元本744万円)し、年利5%で運用し960万円になった場合を考えます。増えた220万円分には通常かかる約20%の税金は非課税になります。

しかし、iDeCoではこの960万円を受け取った時に、「退職所得税」という形で税金がかかることがあります。

【事例比較:iDeCoのメリット・デメリットが分かれるケース】

A. 収入が多い人(年収600万円、50歳、会社員で退職金なしの場合)

• 所得税率20%、住民税率10%(合計30%の節税)と仮定。

• 掛金62,000円(年間74.4万円)の場合、1年間で約22万円分の所得税・住民税が安くなります。

• 10年間で積み立てた場合、合計220万円分の節税効果が得られます。

• 仮に受け取り時に退職所得税が50万円かかったとしても(退職金がない前提)、差し引きすると170万円分得をしたことになり、このケースではiDeCoの方がNISAより有利だと言えます。

B. 収入が少ない人(無職、資産生活者、主婦など、50歳の場合)

• 所得税、住民税ともに0%の場合。

• 掛金を払っても、節税効果は0です。

• 10年後に960万円を受け取る際、働いていないにも関わらず、退職所得税が50万円かかってしまいます。

NISAであれば960万円そのまま受け取って終了ですが、iDeCoでは910万円しか受け取れず、50万円分損したことになります。

結論:iDeCoを優先すべき人、NISAを優先すべき人

iDeCoとNISAのどちらが有利かは、個人の状況や退職金の有無によって判断が分かれます。

iDeCoのメリットが大きい可能性が高い人:収入が多い人、制度を十分に理解できている人、退職金がない人。

NISAを優先すべきかもしれない人:収入が少ない人、退職金がある人(iDeCoと退職金の合計が非課税枠を超える可能性があるため)、制度がよく分からないのでとりあえず始めたい人。

3. iDeCoの受け取り方:一括か年金か?

iDeCoの受け取り方法には「一括受け取り」と「年金受け取り」があり、どちらを選ぶかによって税金の考え方が変わります。税金や社会保険料がかかりにくい方法を選ぶのが無難です。

A. 一括受け取りの場合(退職所得控除の利用)

一括で受け取る場合、iDeCoの積み立て期間に応じて非課税となる控除額(退職所得控除)が変わります。

積み立て期間20年以下:40万円 × 積み立て年数

    ◦ 例:10年間積み立てた場合、40万円 × 10年 = 400万円まで非課税。

積み立て期間20年超:800万円 + 70万円 ×(年数 – 20年)

    ◦ 例:30年間積み立てた場合、800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円まで非課税。

あなたの退職金とiDeCoの60歳時点での総額が、この控除額に収まっていれば、一括受け取りで税金がかからない形で受け取るのが最もシンプルです。

B. 年金受け取りの場合(公的年金等控除の利用)

年金受け取りの場合、公的年金とiDeCoの年金の合計額が110万円を超えると、所得税、住民税、社会保険料が発生してくるという考え方になります。

しかし、年金受け取りは、資金を残して運用を続けられるというメリットがあります。

例えば、iDeCoで500万円受け取れる場合、年金で20年間に分割して受け取り、残った金額を運用し続けることで、結果的に800万円になるという効果が得られる可能性があります。

特に、公的年金が少ない個人事業主や主婦などは、iDeCoの分割期間を最長(20年間)にして、公的年金(マックス約78万円)とiDeCoの年金(例:年間40万円)を合計しても、110万円をわずかに超える程度に抑えれば、税金の負担は軽くなる可能性があります。

4. iDeCo加入者が死亡したらどうなる?

iDeCoに関する疑問として、万が一のケース(死亡時)が挙げられます。

A. 積立期間中に死亡した場合

積み立てている期間中に死亡した場合、その時点の金額が遺族に渡されます

受け取った遺族には相続税がかかる計算対象となります。ただし、iDeCoで積み立てたお金が遺族に渡る場合、これは「死亡退職金」という扱いになり、500万円 × 法定相続人の人数分までは税金がかからないという考え方になります。

よっぽど大金を運用していない限り、税金があまりかからないケースが多いです。

豆知識: 死亡一時金の受取人は、生命保険と同じように指定することが可能です(配偶者、子供など)。

B. 年金受け取り中に死亡した場合

積み立てが終わった後、年金で受け取っている途中に死亡した場合(例:20年分割で受け取り中に5年後に死亡)、残りの金額(15年分)が遺族に一括で支払われます

ただし、この場合の残金は「死亡退職金」の扱いにはなりません。遺族に一括で払われた金額は、現金や不動産を相続したのと同じように、相続税が発生します

5. 受け取り方法を途中で変更できる?

iDeCoを始める際、受け取り方法を最初に決める必要はありません。

受け取り方法を「一括」にするか「年金」にするかを決めるのは、受け取りを開始する時です(60歳以降に確定拠出年金会社から送られてくる書類で選択)。

年金受け取りを選ぶ場合は、5年、10年、15年、20年の4パターンから分割期間を決めます。さらに、年に1回、半年1回、毎月1回など、受け取り頻度も決めます。

【最大の注意点】一度決めたら途中での変更は不可

一度受け取り方法を決定したら、途中で変更することはできません。例えば、「最初の5年間は年金、6年目に残りを一括で受け取りたい」といったことはできないため、決定する際には慎重になる必要があります。

まとめと次のステップ

本記事では、iDeCoの掛金が2027年から最大75,000円に拡大することに加え、iDeCoとNISAの比較、そして受け取り時や死亡時の注意点など、5つの主要な疑問について解説しました。

iDeCoは非常に複雑な制度であり、個々の状況(収入、退職金の有無、制度理解度)によってNISAとの優劣が異なります。ご自身の状況を鑑みて、iDeCoを優先すべきか、NISAを優先すべきか、よく検討してみてください。

受け取り方法についても、一括受け取りの考え方や年金受け取りの考え方に基づき、シミュレーションを行うことが重要です。

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