はじめに:物価高の時代を生き抜くために、今こそお金の知識を

最近、スーパーでの買い物や日常の出費で「また値上がりしてる…」と感じることはありませんか?そう、私たちの生活に直結する「物価高」は、今や避けて通れない大きな課題です。
特に、2022年、2023年、2024年と3年連続で2.5%以上の物価上昇が続いており、これは実に42年ぶりのことです2。このような時代だからこそ、私たちは「お金の知識」を身につけ、賢く資産を形成していく必要があります。
「正直FP」の考え方から、物価高に負けないお金の増やし方、そして老後資金対策まで、役立つ情報を網羅的に解説します。
「正直FP」とは?FPの真髄
この「正直FP」という言葉には、顧客の利益を最優先するというFP本来の理念が込められています。
多くのFPが、自社の儲けや販売手数料のために顧客に商品を「グリグリ」と勧める現状がある中で、私は商品を一切売らず、ひたすらお客様のためになるアドバイスだけを提供することを理念としています。これは、FPがお客様の利益を最優先するという日本FP協会の会員規定に則った、本来あるべきFPの姿です。



「本当にお客様のためになっていたのか?」という疑問を抱いた経験から、私は「お客様のためになるアドバイスがしたい」と独立系のFPとなりました。
物価高の現状と「預貯金」ではお金が減る衝撃の事実
物価上昇は、私たちの生活費を圧迫するだけでなく、預貯金の価値をも実質的に目減りさせていることをご存知でしょうか?
•最近の物価上昇率:
◦2022年:前年比2.5%上昇
◦2023年:前年比3.2%上昇
◦2024年:前年比2.7%上昇(1月は4.0%上昇)



この3年連続2.5%以上の物価上昇は、42年ぶりという歴史的な水準です。
かつて1980年代には郵便貯金の定額貯金で年利8%という時代もあり、物価上昇率を上回る利息で預貯金でもお金を増やすことができました。
しかし、現在の預貯金金利は0.何%や、高くても1%に届かない程度です。これは物価上昇率よりもはるかに低いため、例えば年3%の物価上昇が20年間続くと、100万円の価値は半分になってしまうという計算になります。
この衝撃的な事実を理解することが、今の時代に「なぜ投資が必要なのか」を考える出発点となります。
攻めではなく「守り」としての投資:物価上昇に負けない資産形成



「投資」と聞くと、「一攫千金」や「リスク」といった言葉が頭に浮かぶかもしれません。
しかし、現在の物価高の状況下では、投資は「お金を増やす攻めの手段」というよりも、「お金の価値を目減りさせないための守りの手段」と考えるべきだと考えます。
お金を増やせるかどうかは確実ではありませんが、投資をしないとお金の価値がどんどん下がってしまう時代なのです3。特に昭和の時代の物価上昇が起きている今、誰もが投資や運用を考えなければならない状況です。
世代別!賢く着実な投資戦略
<20代・30代・40代の若い世代向け:長期・積立・分散が鍵>
投資期間を長く取れる若い世代には、「長期・積立・分散」が最も無難で効果的な戦略とされています。
•積立投資の重要性: コツコツと積み立てていくことで、リスクを抑えながら着実に資産を形成できます。私自身も、周りの人たちに「とにかく積み立て投資をやっておけ」とアドバイスしており、「月1万円でもいいから40年続ければ、2000万円〜3000万円になる可能性がある」と具体的に伝えています。
•投資対象: 個人的な見解として、30代であれば現金とのバランスを考えた上で株式100%でも問題ないと思います。特に、インデックス投資の「全世界株式」が推奨されており、値動きに慣れている人であれば、一時的な下落(リーマンショックのような40〜50%の下落)も「よくあること」と捉え、我慢して続けられるなら株式100%でも良いとされています。
•分散投資: しかし、値動きにドキドキしてしまう初心者の方や、リスクを抑えたい場合は、株式だけでなく、債券や不動産など様々な資産を組み合わせたポートフォリオを作成することが推奨されます。これにより、一時的なショック時の下落幅を抑えることができます。
•NISA・iDeCoの活用: 積み立て投資を行う上で、NISAやつみたてNISA、iDeCoといった税制優遇制度を活用することは非常に有効です。私も「NISAをとっとと始めろ」「iDeCoをちゃんとやれ」と促しているほどです。
•貯金とのバランス: 長期投資は大前提ですが、人生の節目(子どもの教育費など)で必要になる短期・中期的な資金のために、貯金とのバランスを適切に保つことも重要です。
<50代・60代以上の世代向け:資産の「取り崩し方」も重視>
投資期間が長く取れない50代・60代以上の方々は、資産を増やすだけでなく、「いかに上手に資産を取り崩して使っていくか」が大きなテーマとなります。
•安全運用の優先: 若い世代と異なり、無理に株式に全額投資するのではなく、債券や不動産、預金の割合を少し高めたポートフォリオを検討することが賢明です。これにより、なんとかショックのような市場の大きな変動時にも資産が大きく減るのを防ぐことができます。
•個別株は趣味の範囲で: 個別株投資は、市場のタイミングを測るのが難しく、会社が倒産すれば価値がゼロになるリスクもあります。そのため、生活に影響が出ない範囲で「趣味」として楽しむのが良いでしょう。
•将来の出費を見越す: 将来施設に入る可能性などを考慮し、必要な金額(例:500万円〜1000万円)を確保した上で、余ったお金は元気なうちに有効活用するという考え方も重要です。
老後資金:2000万円問題の真実と年金活用術



「老後2000万円問題」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
これは、夫婦2人でゆとりのある老後生活を送るには、年金収入だけでは月約5万円不足し、30年間で約2000万円が不足するという金融庁のレポートが話題になったものです。
•2000万円問題の誤解: レポートはあくまで平均額に基づいて計算されたものであり、人によって必要な老後資金は大きく異なります6。公的年金だけで十分に生活できる人もいれば、5000万円あっても足りない人もいるのです6。
•「ゆとりのある老後生活費」の現実: 生命保険文化センターの調査によると、夫婦2人で「ゆとりのある老後生活」を送るのに必要な月額費用は、30万円未満と答える人が約15%いる一方で、50万円以上と答える人も約19%います6。これは、個々人のライフスタイルや価値観によって「ゆとり」の定義が全く異なるためです6。
<年金便の活用法>
◦20代・30代: 年金便の金額は、これまでの加入履歴に基づくため、少なくても気にしなくて良いです。今後も加入を続ければ増えていきます。
◦40代: 年金の加入歴をきちんと確認する時期です。
◦50歳以上: 50歳以上になると、このまま60歳まで加入した場合の65歳からの年金予想額が記載されるため、これを毎年確認しましょう。ただし、この金額は配偶者の加給年金などが含まれていない最低額であることを理解しておく必要があります。
<年金の繰り下げ・繰り上げ受給:戦略的な選択肢>
◦繰り下げ受給(遅らせて受け取る): 基本的に、公的年金は受け取り時期を遅らせるほど有利です。1ヶ月遅らせるごとに0.7%増額され、70歳まで繰り下げると42%アップ、75歳まで繰り下げると84%アップした年金を一生涯受け取れます。これは長生きした場合の「保険」としても有効です。
◦繰り上げ受給(早めに受け取る): 60歳まで前倒しで受け取ると24%減額されますが、受け取った年金を年利3〜4%程度で運用できる場合、実は繰り下げよりも得になる可能性があるという試算も紹介されています。特に、80歳くらいまでに元気なうちにお金を使い切りたいという計画であれば、この戦略が有効な場合もあります。
ファイナンシャルプランナーは「家計の総合医」
ファイナンシャルプランナー(FP)は、投資や保険、税金など、個別の質問に答えるだけではありません。
保険の入りすぎが問題の家庭もあれば、ローンの組み方が問題の家庭もあります。キャッシュフロー表を作成するなどして、現在の収入と支出から将来を予測し、あなたに合った最適な資産形成・老後資金計画を立てることが、物価高時代を賢く生き抜くための鍵となるでしょう。
まとめ:今すぐできることから始めて、未来の安心を掴もう



物価高は私たちのお金の価値を蝕む脅威ですが、正しい知識と行動で備えることができます。
•物価高の現実を受け入れ、預貯金だけでは不十分と認識する。
•「守り」としての投資を始め、長期・積立・分散を基本とする。
•若い世代は全世界株式インデックス投資を検討し、NISA・iDeCoをフル活用する。
•高齢世代は資産の取り崩し方も含め、安定的な運用と計画的な支出を考える。
•年金制度を理解し、自身のライフプランに合わせて繰り下げ・繰り上げを検討する。



まずは少額からでも、今できることから始めてみましょう!
それが、物価高の時代を賢く生き抜き、将来の安心を手に入れるための第一歩となるはずです。
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