2028年までに新たなルールが適用されることになったiDeCo(個人型確定拠出年金)の改正法案。

老後資金形成の強い味方として知られるiDeCoですが、今回の改正で何が変わるのか、そして私たちにとってどのような影響があるのか、気になる方も多いのではないでしょうか?
この記事では、iDeCo改正の**「押さえるべき3つのポイント」と、特に注意が必要な「出口戦略」**について、分かりやすく解説します。
iDeCo改正の主要3ポイントを徹底解説!
今回のiDeCo改正で特に注目すべきは、以下の3つのポイントです。
<ポイント1:掛金の上限額がアップ!より多くの資金を積み立て可能に>
これまでiDeCoへの掛金は上限が定められていましたが、今回の改正でその上限が引き上げられます。
• 自営業者など: 月6万8000円から月7万5000円へ上限額がアップ。
• 会社員や公務員: これまでの月2万円または2万3000円から、月6万2000円へ大幅に上限が引き上げられます。
• 企業型年金に加入している会社員: これまでiDeCoの掛金が月2万円までという制限がありましたが、この縛りがなくなります。これにより、より柔軟な資産形成が可能になるでしょう。



掛金の上限アップは、より多くの金額を非課税で運用できるため、一部の加入者にとっては非常に嬉しいニュースとなるはずです。
<ポイント2:加入できる年齢が「70歳未満」に延長!長く資産形成が可能に>



これまでiDeCoに加入できるのは65歳未満まででしたが、今回の改正で一定の要件を満たせば70歳未満まで加入期間が延長されます。
• 受け取り開始時期は従来通り60歳からですが、老齢基礎年金やiDeCoの老齢給付をまだ受け取っていなければ、最大で70歳まで積立を続けることができます。
これは、「定年後も働き続けたい」「まだまだ老後資金を積み立てたい」と考えている方にとって、非常にありがたい変更と言えるでしょう。より長く税制優遇を受けながら、老後資金を準備する道が開かれました。
<ポイント3:受け取り時の「10年ルール」に注意!裏技が使えなくなり納税者不利に>
今回の改正で、一部の加入者にとって不利になる変更が加えられました。それが、iDeCoの一時金を受け取る際の「5年ルール」が「10年ルール」に変わる、という点です。
• これまでの「5年ルール」: iDeCoの一時金を受け取ってから5年以上経過して会社の退職金を受け取る場合、どちらの受け取りにも「退職所得控除」が適用され、税金を大幅に減らすことができました。これは、受け取り時の税金を抑える「裏技」として利用されていました。
◦ 例: 60歳でiDeCo一時金を受け取り、退職所得控除で節税。その5年後の65歳で会社の退職金を受け取り、再び退職所得控除で節税。
• 改正後の「10年ルール」:
この期間が5年から10年に延長されてしまいます。
◦ 例: 60歳でiDeCo一時金を受け取り、退職所得控除を利用。その後、65歳で会社の退職金を受け取った場合、10年経過していないため退職所得控除が適用されなくなり、支払う税金が大幅に増えてしまうのです。



退職所得控除は非常に優遇された大きな控除であり、使えるのであれば絶対に使うべきです。しかし、この「10年ルール」により、これまでのような節税メリットが享受しにくくなります。
【対策】10年ルール変更への対応策
5年ルールを前提に出口戦略を考えていた方は、以下の対策を検討する必要があります。
1. 退職時期を70歳にずらす:
60歳でiDeCoを受け取り、その後10年空けて70歳で退職金を受け取るようにする。
2. iDeCoを「一時金」ではなく「年金形式」で受け取る:
iDeCoを年金として分割して受け取ることで、退職所得控除の対象外とし、退職金は通常通り退職所得控除を利用して受け取る。
3. そもそもiDeCoに拠出する金額を減らす:
節税効果が見込みにくくなるため、拠出額自体を見直す。



iDeCoの出口戦略、つまり「卒業試験」は、これまで以上に複雑になったと言えるでしょう。
iDeCoの出口戦略は専門家への相談が必須レベルに!NISAとの優先順位も解説
今回の改正で、iDeCoの「いつ、いくら積み立てるか」「いつ、どうやって受け取るか」といった最適な出口戦略は、個人の状況によって大きく異なります。ここまでの複雑さになると、もはや専門家に相談しないと最適な解を導き出せないという方も多いのではないでしょうか。
特に、保険や金融商品を売りつけられるリスクがない、信頼できる専門家への相談が重要です。数十万円から数百万円レベルで受け取り額に影響が出る可能性もあるため、恥ずかしがらずに相談することが大切です。
まずはNISAを優先しよう
今回のiDeCo改正は行われましたが、老後資金の準備を始めるにあたって、まずはNISA(新NISA)を優先して活用することをおすすめします。
• 新NISAは年間360万円、生涯で合計1800万円という非課税枠が用意されていますが、この枠を全て使い切れる人は少ないでしょう。
• iDeCoには「60歳まで引き出せない」という最大のデメリットがありますが、この点は今回の改正でも変わっていません。
まずはNISAの非課税枠を最大限活用し、その上でNISAの枠を全て埋めることができ、さらに余裕がある人、そしてiDeCoの複雑な「卒業試験」(出口戦略)をしっかりクリアできる人が、iDeCoの活用を検討するのが賢い選択と言えるでしょう。
まとめ:iDeCo改正のポイントと賢い活用法
iDeCoの主な改正ポイントは以下の3つです。
• ポイント1:掛金の上限がアップ!
• ポイント2:加入できる年齢が70歳まで延長!
• ポイント3:5年ルールが10年ルールに延長され、納税者にとって不利な改正に!
iDeCoは素晴らしい制度ですが、今回の改正で受け取り時の戦略がさらに複雑になりました。無理のない範囲で賢く利用するためには、ご自身の状況に合わせて最適な戦略を立てる必要があります。
特に「出口戦略」については、専門家への相談を強くおすすめします。そして、まずは税制優遇の使いやすさや柔軟性を考えると、NISAを優先して活用するのが良いでしょう。



今日が一番若い日です!複雑に感じるかもしれませんが、賢く制度を活用して、お金に困らない自由な人生を目指しましょう。
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