「あなたの年金、本当に大丈夫?」

最近、「年金制度が改正された」というニュースをよく聞きますが、結局のところ、年金は**「良くなった」のか「悪くなった」のか**、よくわからないと感じている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、年金改正は「一律に良くなった」のでも「悪くなった」のでもありません。
あなたの立場(働き方、家族構成、収入)が違えば、受け取り方は大きく変わってくる のです。
この記事では、今後の年金制度の動きが気になる方に向けて、特に注目すべき4つの重要ポイントについて、具体的なメリット・デメリットを交えて解説します。
• ポイント1:在職老齢年金の支給停止基準引き上げ(2026年)
• ポイント2:加給年金(子どもの分)の大幅増額(2028年)
• ポイント3:遺族厚生年金の原則5年給付化(2028年)
• ポイント4:申請漏れが多い「年金生活者支援給付金」



ご自身にどの改正が当てはまるのか、ぜひチェックしてみてください!
1. 【働く人への朗報】在職老齢年金の支給停止基準が62万円に大幅アップ(2026年)
<制度の概要と改正のメリット>



「在職老齢年金」とは、簡単に言えば「働きすぎると年金がカットされる」仕組みです。給与と厚生年金部分の年金月額の合計額が基準を超えると、超えた部分の年金が1/2カットされていました。
この制度の大きな改正点が、2026年に実施されます。
• 改正前(現行): 支給停止基準額は50万円でした。
• 改正後(2026年): 支給停止基準額が62万円に引き上げられます。
この基準額の引き上げは、ほとんどの人にとってプラスの改定だと言えます。
<具体的なメリット例>



例えば、給与+年金の合計が64万円の人を考えてみましょう。
収入合計 | 64万円 |
現行(50万円基準) | 7万円カット ( (64万 – 50万) ÷ 2 ) |
改正後(62万円基準) | 1万円カット ( (64万 – 62万) ÷ 2 ) |
この場合、カット額が7万円から1万円に減るため、**毎月6万円(年間72万円)**分の年金が得になります。
また、収入があまり高くない方(イメージとして月40万円以下ぐらいの人)にとっては、今後、働きながら年金を受け取っても、ほぼカットされなくなる可能性が高くなります。今まで支給停止を恐れて働くことをためらっていた人にとっては、非常に良い改正と言えるでしょう。
2. 【子育て世帯必見】加給年金(子供の分)が大幅増額(2028年)
<加給年金とは>
加給年金は「家族手当」のようなイメージの制度です。厚生年金に加入している人が対象で、65歳未満の配偶者や18歳未満の子供がいる場合に受け取ることができます。
今回の改正で変更されるのは、子供の加給年金の金額です。この改正は2028年に実施されます。
<驚きの増額率!3人目以降の金額が激変>
特に子供が3人以上いる家庭では、受け取れる金額が大きく変わります。
対象 | 改正前(現行) | 改正後(2028年) |
1人目・2人目 | 23万4,800円 | 28万1,700円 (+4万6,900円) |
3人目以降 | 7万8,300円 | 28万1,700円 (+20万3,400円) |
子供3人の合計 | 54万7,900円 | 84万5,100円 (約30万円プラス) |



年金を受け取る時点で子供が18歳未満の家庭にとっては、**「めちゃくちゃいい改正」**となります。
ただし、補足として、親が65歳以上で子供が18歳未満という家庭が世の中的にどのぐらい存在するのか、という点については考慮が必要です。
3. 【若年層に痛手】遺族厚生年金が原則5年に制限(2028年)
<若い世代にとって大きなデメリット>
これまでの制度では、夫が亡くなった際、30歳以上の妻は終身で遺族厚生年金を受け取ることができました。
しかし、2028年からこの仕組みが大きく変わります。
• 改正後(2028年): 39歳以下の配偶者については、遺族年金は原則5年分しか受け取れなくなります。
• 40歳以上の配偶者であれば、2028年時点では終身給付されますが、この年齢基準は今後20年以上の期間をかけて徐々に引き上げられ、最終的には60歳になる予定です。



つまり、**現時点で若い人(30歳ぐらいの人)**にとっては、今後年齢が引き上げられていくため、大きなデメリットになる改正であるとされています。
<唯一の救い:収入を抑えるという選択肢>
原則として改悪ではあるものの、唯一の救いとなるのが、収入が低い場合の例外規定です。
地域にもよりますが、例えば夫が亡くなった後、妻の月収が10万円以下であれば、5年を超えても遺族年金を満額受け取れる可能性があります。
もし頑張って20万円や25万円を稼ぐぐらいであれば、あえて月収を10万円以下に抑えて、遺族年金を全額受け取るという選択肢も将来的にはあり得ます。
4. 【申請し忘れに注意!】知らなきゃ損する年金生活者支援給付金(年間6万円)
最後に、今回の改正とは直接関係ありませんが、**「知らないと損する制度」**として紹介されているのが、「年金生活者支援給付金」です。



この制度は2019年から存在していますが、半分近くの人が申請を忘れて受け取っていないというデータがあります。
<制度の要件>
一定の要件を満たすと、年金とは別に毎月お金(年間6万円)を受け取れます。
1. 国民年金を受給していること。
2. 世帯全員が住民税非課税世帯であること。
3. 受け取っている年金が約80万円以下の水準であること。
これらの要件に当てはまる人には、毎年9月にハガキが送られてきます。そのハガキに名前を書いて提出するだけで、毎月5,000円が支給されます。



月額5,000円は小さな金額に感じるかもしれませんが、20年間受け取れば120万円にもなります。もし条件に該当すると思われる方は、毎年9月に送られてくるハガキをチェックし、取りこぼしがないよう確認しましょう。
まとめ:あなたの状況に合わせて年金制度をチェックしよう
年金改正は、「良い改正」と「悪い改正」が混在しています。
特に、在職老齢年金(2026年)は働く人にとってメリットが大きく、加給年金(2028年)は子育て世帯にはメリット大です。一方で、遺族厚生年金(2028年)は若い世代にとって大きなデメリットとなる可能性があります。
あなたの働き方、家族構成、収入 に応じて、どの改正が自分に当てはまるのかをチェックすることで、これから受け取れる年金に対する安心感が得られるはずです。



複雑な年金制度ですが、新しい情報が分かり次第、随時チェックしていくことをおすすめします。
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