「人手不足だから、有給なんて取れるわけないでしょ」
——医療現場で、こんな言葉を聞いたことがある方は少なくないと思います。

自分自身も、CEとして働く中で、有給取得のしにくさを感じたことがあります。
ただ、正直なところ、「有給が取りにくい」という感覚と、「法律上どうなっているか」を、きちんと切り分けて理解できていなかったな、と思う部分もありました。そこで今回、有給休暇に関する法律を、あらためて自分なりに調べてみました。
調べてみると、年5日の有給取得は、病院側に課せられた法的な義務であり、正当な理由なく拒否することはできない、という仕組みになっていることが分かりました。ちなみに看護師の有給取得率は67.7%と、実は全産業平均(62.1%)より高いというデータもあり、「医療現場だから特別に取れない」というわけでもなさそうです。
この記事では、有給休暇に関する基本的な法律と、「これは知っておいた方がいい」と感じたポイントを、調べた内容をもとに整理します。労働問題に詳しいわけではない一個人の整理として、参考程度に読んでいただければと思います。
有給休暇、法律ではどうなっているか
大前提:年5日の取得は、病院側の義務
2019年4月の法改正により、年10日以上の有給休暇が付与される労働者に対して、年5日は病院側が時季を指定してでも取得させなければならないことが、法律で定められています。これは看護師・CE・PTなど、医療職に限らずすべての労働者に適用されるルールです。
この義務に違反した場合、病院側には30万円以下の罰金という罰則が定められています。「有給を取らせない」ことは、単なる職場の慣習の問題ではなく、法律違反になり得る、ということです。
「人手不足だから」は、拒否の正当な理由にならない
有給休暇には「時季変更権」という仕組みがあり、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、病院側が取得日をずらすよう求めることができます。



ただし、これはあくまで**「日程の変更」を求める権利**であり、慢性的な人手不足を理由に一律で有給取得そのものを拒否することは、想定されていません。「忙しいから今月は無理」と毎回言われ続けているとしたら、この権利の趣旨とはズレている可能性があります。
公立病院は少し事情が異なる
ここは調べていて意外だったのですが、地方公務員(公立病院に勤務する場合)は、年5日取得の義務化が「努力義務」にとどまるとされています。民間病院と同じルールがそのまま当てはまるわけではない、という点は知っておいて損はありません。
看護師の有給取得率、実はそう低くない
日本看護協会の調査によると、看護師の有給取得率は67.7%で、全産業平均の62.1%を上回っています。「医療現場だから有給が取れない」というイメージが先行しがちですが、データ上は必ずしもそうとは言い切れないようです。ただし、これはあくまで平均であり、病院の規模や部署によって差が大きい点には注意が必要です。
有給を取りにくいと感じたとき、確認・行動できること



法律の建前は分かっても、実際に「取りたい」と言い出しにくい雰囲気があるのも事実だと思います。調べる中で見つけた、現実的な選択肢を整理します。


①まず、就業規則と自分の有給残日数を確認する
感覚ではなく、まず「自分にはあと何日、有給が残っているか」を正確に把握することが出発点です。有給には2年の時効があるため、知らないうちに消滅している可能性もあります。
②「時季変更権」の趣旨を知っておく
「日程の調整をお願いされること」と「取得そのものを拒否されること」は別の話です。何度も先延ばしにされ続けている場合は、この違いを意識しておくと、対応の仕方が変わってきます。
③一人で抱え込まず、労働基準監督署への相談も選択肢に入れる
病院内で解決が難しい場合、労働基準監督署に相談できる、という選択肢があることも知っておいて損はありません。あくまで最終手段としてですが、「そういう窓口がある」と知っているだけでも、気持ちの余裕は変わってくると思います。
④どうしても改善しない場合は、環境を変えることも一つの手
制度としては正しくても、職場の雰囲気がすぐには変わらないことも現実にはあります。有給取得のしやすさは、病院によって差が大きい部分でもあるため、「今の職場が全てではない」という視点を持っておくことも大切だと感じます。


結論
有給休暇の年5日取得は、病院側に課せられた法的な義務であり、「人手不足だから」という理由だけで一律に拒否することは、本来想定されていません。この点を知っているかどうかで、有給について感じるモヤモヤの質は変わってくると思います。



とはいえ、法律と実際の職場の雰囲気には、まだギャップがあるのも事実です。
まずは自分の状況(残日数・就業規則)を正確に把握し、必要であれば相談先があることを知っておく——これだけでも、いざという時の心の余裕につながります。
今日からできる一歩
有給の取りやすさは、病院によってかなり差があります。今の職場で改善が見込めない場合、「他の病院では、有給や休日についてどう考えられているのか」を知っておくことも、一つの選択肢です。
転職エージェントは、複数の病院の内部事情に詳しいことが多く、求人票だけでは分からない「実際の有給消化率」や「休みの取りやすさ」について、情報を持っていることがあります。今すぐ転職するかどうかに関わらず、情報収集だけでも今の職場を客観的に見直すきっかけになります。
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