医療職の年収、実は50代で頭打りです

看護師の給料は、20代のうちはしっかり上がっていく実感があります。

ただ、40代・50代になると、その伸びが緩やかになってきた、という感覚を持っている方もいるかもしれません。

これは気のせいではなく、厚生労働省のデータ上、実際にそういう傾向があることが確認できます。とはいえ、これは「医療職だから損している」という話ではなく、日本の給与制度全体に共通する構造の一部でもあります。

この記事では、看護師を中心とした医療職の年収カーブを、厚労省のデータをもとに客観的に整理します。感覚だけで不安になるのではなく、実際のデータを知った上で、自分のキャリアをどう考えるを判断できる状態を目指します。

不安を煽るつもりはありません。ただ、「なんとなく感じていたこと」を、数字で正確に把握しておくことには意味があると思います。

目次

看護師の年収カーブ、実際のデータ

厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」をもとに、看護師の年代別平均年収を整理すると、以下のようになります。

年代平均年収(目安)
20代前半約439万円
50代前半(ピーク)約577万円
55歳以降緩やかに下降
60〜64歳大幅に下降(定年再雇用の影響)

20代前半から50代前半のピークまで、約1.3倍まで伸びています。決して低い伸びではありませんが、ここで比較のために、一般的な会社員(男性正社員)の賃金カーブも見てみます。

<一般男性正社員の場合>

同じ厚労省の調査によると、男性の賃金は55〜59歳でピークを迎え、20〜24歳の賃金の約1.9倍まで上昇します。看護師の伸び(約1.3倍)と比べると、かなり急な右肩上がりであることが分かります。

この差が生まれる理由

これは「医療職だから冷遇されている」という単純な話ではありません。看護師の9割以上は女性であり、日本全体の賃金カーブは、女性の方が男性より緩やかな傾向にあるという、より大きな構造の影響も受けています。実際、女性全体の賃金カーブのピークは45〜49歳で、20代の約1.3倍程度という統計もあり、看護師の傾向はこれと近い水準です。

つまり、「医療職特有の問題」「日本社会全体の男女間の賃金カーブの違い」が、両方重なって影響している、というのが実態に近い見方です。

頭打ちを感じたとき、考えられる選択肢

ここまでのデータを見て、「やっぱり不安になった」と感じる必要はありません。50代でピークを迎えるという構造そのものは、多くの職業に共通する話であり、医療職だけが特別に不利というわけではないからです。

大事なのは、「いずれ昇給が緩やかになる」という前提を早めに知っておいた上で、自分に合った選択肢を考えておくことです。主な選択肢は、次の4つに整理できます。

選択肢①:役職・資格でカーブを底上げする 
 認定看護師・専門看護師などの資格取得や、師長などの役職に就くことで、平均的なカーブより高い水準を維持しやすくなります。

選択肢②:夜勤・勤務形態を調整して収入を確保する 
 以前の記事でも触れた通り、夜勤手当は収入に占める割合が大きい要素です。体力と相談しながら、無理のない範囲で調整するのも一つの方法です。

選択肢③:待遇の良い職場へ、情報収集だけでもしておく
 今の職場に不満がなくても、「同じ経験年数で、他の病院はどれくらいの水準なのか」を知っておくことは、今後のキャリアを考えるうえで無駄になりません。

選択肢④:昇給に頼らない資産形成を並行して進める 
 給与の伸びが緩やかになる時期が来ることを前提に、NISAなどで自助努力の部分を早めに積み上げておくと、将来の選択肢が広がります。

いずれも「今すぐ何かを変えなければならない」という話ではありません。選択肢を知っておくこと自体が、一番の備えになります。

今日からできる一歩

年収カーブの話は、不安になるために書いたわけではありません。ただ、「50代でピークを迎え、その後は緩やかに下がっていく」という構造を知っているかどうかで、キャリアの選択肢の見え方は変わってきます。

もし「今の職場で、この先の昇給がどれくらい見込めるのか分からない」と感じているなら、一度、転職エージェントに今の待遇を相談してみるのも一つの手です。今すぐ転職するかどうかに関わらず、自分の経験年数・スキルが、今の市場でどれくらいの水準にあるのかを知っておくことは、今後のキャリアを考えるうえで役立ちます。

※対応職種・エリアはサービスによって異なるため、登録前に対象条件を確認してみてください。

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あわせて、給与のピークが来ることを前提に、早いうちから自助努力の資産形成を並行しておくのもおすすめです。

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