「産休・育休に入ったら、収入がなくなる上に、社会保険料まで引かれ続けるんじゃないか」
——そんな不安を抱えたことはありませんか。
看護師・介護士・保育士など、女性の比率が高い医療・福祉職では、出産・育児は多くの方が経験するライフイベントです。ただでさえ収入が減る時期に、さらに保険料まで天引きされたら、家計への打撃は小さくありません。

結論からお伝えすると、産休・育休中は、一定の条件のもとで社会保険料が全額免除される制度があります。 しかも、免除されている期間も、将来受け取る年金額には影響しません。
この記事では、産休・育休中の社会保険料免除の仕組みを、正確な情報をもとに整理します。あわせて、2025年から拡充された育児休業給付金の制度についても触れ、「産休・育休中、実際どれくらい家計に余裕を持てるのか」がイメージできるようにしていきます。
不確かな情報に振り回されないよう、公的機関の情報を中心に、事実だけをお伝えしていきます。
産休・育休中の社会保険料、なぜ免除になるのか
<産前産後休業(産休)中の免除>
出産日を基準に、産前42日(多胎妊娠の場合は98日)〜産後56日のうち、実際に仕事を休んだ期間について、健康保険料・厚生年金保険料が、本人負担分・会社負担分の両方とも全額免除されます。
免除される期間は、「休業を開始した月」から「休業が終了する日の翌日が属する月の前月」までです。少しややこしいですが、要は「休んだ月」の分がまるごと免除される、とイメージしておけば大丈夫です。
<育児休業(育休)中の免除>
育休についても、同じように健康保険料・厚生年金保険料が免除されます。対象となるのは、原則として子どもが1歳になるまで(保育園に入れないなどの事情がある場合は、最長2歳まで延長可)の期間です。
2022年10月の制度改正により、同じ月の中で14日以上育休を取得していれば、その月の保険料も免除対象になりました。以前は「月末時点で育休中であること」が条件でしたが、これにより短期間の育休でも、月内で一定日数取得していれば免除されやすくなっています。
<ここが一番大事なポイントです>



「保険料を免除されると、将来もらえる年金が減ってしまうのでは」と心配する方もいると思いますが、その心配はいりません。
産休・育休中の免除期間は、「保険料をきちんと納付した期間」として扱われ、将来の年金額の計算にそのまま反映されます。免除されても、将来の年金は減らない、というのが制度上の大原則です。


| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 免除される保険料 | 健康保険料・厚生年金保険料(本人・会社負担分とも) |
| 産休の免除期間 | 産前42日(多胎98日)〜産後56日のうち、実際に休んだ期間 |
| 育休の免除期間 | 原則、子が1歳になるまで(延長時は最長2歳まで) |
| 将来の年金への影響 | 免除期間も納付したものとして扱われ、年金額は減らない |
2025年から拡充された「育休手取り10割」制度
2025年4月から、育児休業給付にも大きな変化がありました。**「出生後休業支援給付金」**という新しい給付金です。
<どんな制度か>
これまで、育児休業給付金の支給額は、賃金の67%程度が目安でした。2025年4月からは、父母ともに育児休業を取得した場合(配偶者が取得できない事情がある場合は例外あり)、これまでの育児休業給付金に「出生後休業支援給付金」が上乗せされ、最大28日間、賃金の80%相当が支給されるようになりました。
<なぜ「手取り10割」と言われるのか>
育児休業給付金は非課税で、しかもこの期間は社会保険料も免除されています。税金・保険料が引かれない状態で賃金の80%が支給されるため、通常の給与から税金・保険料が引かれた「手取り額」と比べると、**ほぼ同水準(実質10割相当)**になる、という仕組みです。
<対象になる期間>
この上乗せ給付が対象になるのは、**男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内に取得する育休(最大28日間)**です。この期間を過ぎると、給付率は通常の67%(181日目以降は50%)に戻ります。
<注意点>
賃金が高い方(目安として月47万円程度以上)の場合、給付額に上限があるため、必ずしも「10割」にならないケースもあります。



とはいえ、多くの方にとっては、手取りがほぼ減らない状態で育休を取得できる、心強い制度です。
結論
産休・育休中は、社会保険料が全額免除される制度がしっかり用意されています。しかも、免除されている期間も将来の年金額には影響しません。「収入が減る上に保険料まで引かれる」という不安は、制度を正しく理解していれば、かなり和らげることができます。
さらに2025年4月からは、出生後休業支援給付金の創設により、産後の一定期間は、育休中でも手取りがほぼ減らない制度も整いました。「育休を取ると家計が苦しくなる」というイメージは、以前よりも実態とズレてきているかもしれません。
とはいえ、育休が明けた後、給付金がなくなり通常の給与に戻るタイミングでは、改めて家計を見直すきっかけにもなります。


今日からできる一歩



産休・育休中は、社会保険料が免除される分、家計に多少の余裕が生まれるタイミングでもあります。この機会に、将来に向けた資産形成の土台を見直すのも一つの手です。
育休中は、日中に赤ちゃんと過ごしながらも、これまでの働き方を振り返る時間ができる方も多いです。「復帰後、また忙しくなる前に、積立の仕組みだけ整えておく」という考え方もおすすめです。以前の記事「夜勤で忙しい医療職のためのNISA入門」で紹介した通り、一度設定してしまえば、あとは自動で積み立てが続きます。





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